こんな「演劇あるある」みかけませんか?
台本の本読みを終えて感想を聞くと
「役と自分はこんな所が似ている」
「こんな境遇が似ている」
という自分との共通点を話したりします。
特に自分と役との共通点を中心に見つけようとします。
日本のタレントさんの役作りのインタビューなどを聞いていてもそうですね。
「自分と役はこんな所が似ていて・・・」
「こんな所が近くて・・・」
「こんなに自分と役が近いから演じるのが楽しいんです」
みたいなことをよく耳にしませんか?
でもね・・・・
自分と役の共通点ばかりみつけて演技したら、
そこに出ているのは「誰」なのでしょうね?
明らかに役と実物の演者は違う人物なのに
演じる人が自分と共通点だけにフォーカスして演じていたら・・・
はい、役ではなく、役者自身ですね。
よく「何をやっても同じ演技だ」
と言われる役者さんっていますよね。
有名人の中でも。
実はそれが原因なんです!
自分と役の共通点だけを見つけて、
その後は自分の感性だけでやってしまう役者さん・・・いません?
目次
一方、ハリウッドの一流は一流俳優たちは?
逆にロバート・デ・ニーロやアル・パチーノらのように
作品ごとにまったくの別人が出ている印象がある役者さんもいますよね。
顔は同じなんだけど、その中身が全く別人の印象を受けますよね。
しかも、それぞれうそ臭さはありません。
その秘密を教えます。
これはとても重要なので一生心に留めて置いてください。
これだけで、あなたはライバルと一気に差をつけられます。
それは・・・
「自分と役の違う部分にフォーカスする」
役のアプローチの際に
自分との共通点は放っておいて良いんです。
だってすでにできるんだから。
本当の役へのアプローチとは、
自分とは違う人間の違う部分に自分が近づいていく作業なのです。
「自分はこの時こんな風には言わないけど、役は言う。その違いは何なのだろう?それを自分の中で正当化するには何を準備したら良いのだろう?」
「自分だったら、こんな状況の時は泣いてしまう。でも台本には笑っていると書いてある。なぜなんだろう?それを正当化するには?」
そこを考えて試行錯誤したり、
仮説と検証を重ねて役の本質をつかんでいくのが
役へのアプローチなわけです。
そうやってアプローチしていくのが本当の役へのアプローチです。
そして、そのアプローチには正解を求めてはいけません。
いろいろ試してくことです。
それができるのが稽古場です。
稽古場は、単にセリフあわせをしたり、
動きをあわせたり、きっかけをつかむだけのものではありません。
稽古場というところはいろいろな事を試す場です。
そして試して出た結果に対して考えて、次にまた試す。
この繰り返しをしていく事が役へのアプローチに繋がります。
役へのアプローチの究極とは?
それは役の全てを正当化できるようにすることです。
セリフの一言一言、ト書きに書いてある一挙手一投足。
全て役として当たり前のこととして正当化できるようになることが役へのアプローチです。
思考レベルだけでは浅い。
心が動くレベルでアプローチしていくことです。
頭でどんなに理屈理論だって説明ができても
それに対して心が動かなければ冷たい演技になってしまいます。
理屈理論で説明されたって、観客にはなにも伝わりません。
だから、俳優の楽器の訓練が必要です。
心と身体が動きやすいように訓練しておく事で、シチュエーションに入り込みやすくなるのです。
くれぐれも頭だけでやる演技はしないようにしましょう。
ですので「俳優の楽器の訓練」と「役へのアプローチ」は車の両輪と言われています。
どちらか一方だけではダメ。
両方をしっかりと訓練していくことで
誰もマネができないような素晴らしい演技に近づけていくのです。