毎回、演技ワークショップを主催して
いろいろ思うことがあります。
結局の所、演技をやりたいという人は、
「演技を通して幸せになりたい」人
なんだなと改めて思いました。
人それぞれ幸せの実現方法は違うと思います。
野球を通して幸せになりたい人、
サッカーを通して幸せになりたい人、
ダンスを通して幸せになりたい人。
それぞれだと思います。
でも、その中で共通することはただ一つ。
「幸せになりたい」
ということだと思います。
演劇を続けている人は、
やはり演劇をやることを通して幸せになりたい
ということでほぼ間違いないと思います。
そしてさらに、演技をやりたいという人は、
自分も演技をして幸せになって、さらに見てくれる人も喜ばせたいという人だと思います。
だから、演技の稽古を一生懸命やるんだと思います。
ただ、同じ方向で幸せを求めるにしても、
受け取る幸せの量は進み方によっては全く違ってくると思うんですね。
日々、なにも訓練をしないで、草野球の試合で勝った時の喜びと、
より高みを目指して訓練を積み重ねてきた選手がWBCの決勝で勝利した時の喜びは、
同じ野球でも全く違いますよね?
見ている観客の感動も、
草野球の試合で勝ったのを見るのと、WBCの試合での勝利を見るのとではまったく違いますよね?
演技でも同じことが言えると思うんです。
演技に必要な訓練はしないで、
ただセリフを覚えて、
それっぽく動いて演じた時の喜びと
リラックスや、
注意の集中、
想像力や感情の開放の訓練をしてきた人が
舞台に立って役として生きた瞬間の喜びでは、
同じ演技をするということであっても、
やはりそこから受け取る喜びは全く違うと思うんですね。
その違いだと思います。
ですから、ぶっちゃけリラックスの訓練や想像力を高める訓練、
集中の訓練をしなくても舞台に立って演技はできます。
何の訓練をしなくても舞台で演技はできます。
でも、より高いレベルで演技をして、
よりたかいレベルの演技の幸せを得たいのであれば訓練が必要なんだと思います。
演技の練習といえば
発声練習とか
早口言葉
筋トレ
ダンス、ストレッチ
殺陣
といった肉体訓練だけを一生懸命やることが演技の練習だと
思っている人がかなり多いと思いますが、
それはあくまで肉体訓練であって
演技の訓練ではないわけです。
だから、みんな迷うんですよね?
それこそが演技の訓練だと思っているから。
自分はこんなに一生懸命やっているのに演技がうまくならない。
才能がないんじゃないか?
感性が悪いんじゃないか?
それはただ単に
演技に必要な訓練をしていないだけなんですね。
なので、
そこを教えていくのがトップクラスの役目なんだと思います。
そう考えると、僕が主催するトップクラスの演技ワークショップ
というのは、より高い幸せを演技を通して提供する活動なんだなと思います。
どのレベルの幸せを求めるのかは個人の自由です。
僕の師匠がよく言っていた言葉で
「残飯を拾うな」
というのがあります。
残飯といっても、本物の残飯を拾うなという意味ではなく、
手の届く範囲のものに手を伸ばしてそれで満足するな
ということなんです。
つまり、
「手の届かないところに手を伸ばせ」
ということなんですね。
よく薦めてくれた本で
「カモメのジョナサン」という絵本があります。
主人公のジョナサンはカモメなんですが、
仲間達は、人間が海に捨てる残飯に群がり、満足しているわけです。
でも、ジョナサンはそんなものにも目はくれず、より高みを目指していろいろな飛行訓練をしていきます。
そうしていったときに、残飯に群がらなくても、自分の力で残飯の数十倍はおいしい生の魚を取ることもでき、より楽しい飛行の仕方を体得していきます。
そこにはより大きな自由と喜びがあるわけです。
より高みを目指して追求していった時には、
そこにはより大きな自由と喜びがあるというわけです。
面白いと思いませんか?
演技のエクササイズを毎日続けていくというのは
大変なことかもしれません。
でも、その先にはとても大きな自由と喜びがあると考えたら
ワクワクしてきますよね?
それに気付いてもらうのが、
トップクラスの活動の意義だと思っています。
なんか面白いですね。
「演技を通してより高い幸せを提供する」
これを理念にさらに進化していきたいと思います♪
ちょっと大それた理念ですが
「手の届かない所に手を伸ばせ」
の実践で、日々精進していきたいと思います♪